先のグラナダでのギター製作コンクールに参加したミゲル アンヘル グティエレス氏をご紹介します。
グティエレス氏はスペインのトレド出身です。現在はイタリアのジェノバにイタリア人の奥様とお住まいで、ギターの製作に熱心に取り組んでいます。トレドも古くから文化の融合する場所で、ヘブライ、イスラム、カトリックの文化が様々に混ざり合い、町を構築しています。
「アントニオ・マリンギター製作コンクール」に参加するためにグラナダを訪問した際写真を送ってくれました。コンクールの様子と感想をインタビューしましたので掲載します。
今回は17名のエントリーがあり、2名が欠席、15名の参加となりました。いったん6名までしぼられ、最終的にはイタリアのクレモナで製作活動する、アルゼンチンの女性製作家が選ばれたそうです。優勝者はギターの買い上げや宣伝をしてもらえるそうです。
グティエレス氏(以下ミゲルで)は本選には残らなかったものの、いろいろな宣伝効果もあり、特に彼のモザイク(ギターのホールを囲むデザイン)の評価が高く、アメリカの業者さんに取り上げてもらえる可能性がでてきたので嬉しいことです。
このきれいな緑のイスラム風のモザイクが私もとても美しいと思います。
コンクールの主催はグラナダ市、その州と、ヨーロッパギターファウンデーションで、昨年はコロナ禍中で開催は見送られたのですが、今年は行われました。このコンクールは一般には「アントニオ・マリンギター製作コンクール」と呼ばれるものです。7月~8月に行われるギターフェスティバルの一環だと思われます。
マリンはまだ工房で監修にあたっているそうです。情熱があり、とても気さくな人だそうです。マリン、いいですよね。いまは高くなって手が出ませんが。松のがひとつ欲しいですね。昔はしなやかで品がよく、音量はそれほどなかったように思いますが、だんだんと骨格がしっかりしてきて芸術性も高く銘品です。しかしながら私は昔のマリンもとても好きでした。
今回のミゲルのギターは表面が松で、裏や横が楓、というちょっと珍しいタイプです。トーレスの有名なギターに楓のものがいくつかあり、それに惹かれたのと、今回の作品はコンクール開催地であるアンダルシア地方の白くて明るいイメージにしたかったからだそうです。
ブリッジが変わっているでしょう。これはいまのところミゲルの考える一番良い形だそうで、確かにクリアで音量もあり、私がWebレッスンをしているミラノ在住の日本人の人も一目(ひと弾き?)で気に入っていました。
ドイツのシッカスというギターの専門店からもお声がかかっており、これから期待大の製作家です。もちろん来年もこのコンクールにエントリーする、と言っていました。応援したいです。