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ただ立って座るだけ(チェアワーク)

アレクサンダーテクニーク教師の同僚、井上敦子さんとエクスチェンジ会をやりました。

毎週金曜日に仲間とエクスチェンジ会を開催しています。コロナ禍で間がかなり空くこともありましたが再開。関東からはFaceTimeで参加してもらっています。今日は井上さんと私がチェアワークをしているところを関東の同僚から観察してもらい、アドヴァイスをもらったりして、エクスチェンジ中に注意すべきことなどを話し合いました。

exchange
二人で合計90分ほど互いにワークしたところ

敦子さんの腕のぶら下がり方や重心の取り方、とてもいいと思います。
椅子を使った※ワーク(=アレクサンダーテクニークを使っている状態)をチェアワークといい、アレクサンダーテクニークのもっともベーシックなことが学べる※プロシージャ(=課題)です。何年たってもチェアワークはいろいろなことを気づかせてくれます。それだけ人の行動の基本になっているからでしょう。
立つ、座る、そこから移動する。「そんな当たり前のことを練習して何になるの?」と思う方も多いでしょう。しかし身体の使い方を学べば学ぶほど、その当たり前がいかに難しいことかがわかります。普通はだれでも、自分の習慣に浸りきっているから、「身体をうまく使いたくても使えない」状態になっています。
私自身、自分が先生なので自分でアレクサンダーテクニークを使って(=ワークして)行動するのですが、自分の癖がでる。今日敦子さんの方向性が新しく私の使い方を導いてくれるので随分と※リリース(=開放)されました。この数か月、自分の使い方の袋小路にはいってしまっていた。それで「私、トレーニングやる前に戻ってない?」と敦子さんにきくと「全然。戻ってないし変化していってるよ」と言ってもらい、「ああ私は私であがかなくてもいいんだな」と思えました。敦子さんは私の一学年上なので2年間の私の変化をじっと見てきた人、という意味でもとても貴重です(生き証人)。

アレクサンダーテクニークを使わなくても立ったり座ったりできます。ではなんでこれをやるのか。
面白いことに、シンプルな行動の中にその人の癖が出る。それはそのまま演奏の癖や、音楽への取り組みと共通しています。アレクサンダーテクニークのレッスンでは、指導をうけながら立ったり座ったり、また一歩、二歩、と歩いたりすることによって、自分が知らないうちに固めてしまっているところや、精神的なことも含めて何が思い通りの行動を阻んでいるのか、などを観察していきます。

例えば人は一度成功するとそれでうまくいったからまた今度も、と思いがちですが、それに囚われていると身体がうまく使えないことがまあまああります。成功体験自体はいいことなんですが、時に次のよい使い方を阻む原因にもなります。この話、うなずける方はアレクサンダーテクニークを生かすことができそうですよ。

さて、アレクサンダーテクニークの創始者、F.M.アレクサンダーはイギリスの産業革命を経て、世の中がより便利に、文明が発達していく過程で、人々がさまざまな矛盾のなかで苦しみ、やがては大戦へと大きな流れに抗えずに進んでしまうところを目の当たりにしています。彼は、そのためにアレクサンダーテニクークを創始したわけではありませんが、もっと小さなサイズの話でも、人が間違った方向に行くとき、身体の方向性が失われている、と気づいていました。すごい観察力です。F.M.アレクサンダーは10年ほどその観察だけをやっていた期間がありました。

「身体の方向性が失われているとき、人は思っている動作ができない」

機械だと行動は「命令」が決めるのだと思います。血の通った人間は「身体」が決める。命令を脳が下しても身体(の方向性)が納得しなければ行動に移せない仕組みになっている。
今人工知能が人に近くなってきていますが、この差をうめるのはそう簡単ではないと思います。

神戸~西宮方面で活躍する井上敦子さんのHP https://atsvn-k.com/



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