大阪っていいな、と思わせる作品
「プリンセス トヨトミ」 はかなり前に流行って、映画も作られたらしいのですが、なかなか原作の良さを表すのはいつも難しいものですよね。ネット上の批評はまあまあ厳しく、見てなくても「残念」な感じが想像できます。
期待外れで「あれっ」と思いました。私がイラストレーターなら本当にある景色を描きたいと思うと思います。少しがっかりしながらゆっくり谷町の方に向かうと「西の丸庭園 入場料¥200 。なんで~と思いながらちょっと迷いましたが入場。窓口のおばちゃんに表紙を見せる。「あ~これは東側の堀やよ」「いや行ってきたけどこうは見えてないんです」「でもこの柵は東のやよ、どうする?入ります?」「でも大阪城は西の丸からが一番きれいよ~」とか言う。
せっかくなので入場する。
おお~本当に大阪城がきれい。そしてさすがおばちゃんは西側と東側の柵が違うことを熟知していた!!!
無事に城と堀を見て、イラストは合成だったけど、理由はなんとなくわかり、距離感とかを感じながら、落ち葉を踏みしめたりして帰路につきました。
本は大阪愛にあふれた大阪出身の作家の作品ですが、ノリのよさとお好み焼きの香り、建築のこと、大阪人の気質などを楽しく表現し、エンターテインメントに尽くしつつも、
「暴力で国を負かした国は必ず暴力で負かされるんや。それは絶対あかん」
と主人公がお好み焼き屋の主である父親(大阪国総理大臣!?)に言われるシーンがすごくいい。
人情と誠実さで明るく笑って生きていこうと思わせてくれる楽しい一品。お勧めです。